御本尊 不動明王について
不動明王は大日如来の教令輪身(きょうりょうりんしん)とされています。
即ち、教化しがたい衆生。を導くために、大日如来が姿を変えて現したのがお不動さまなのです。
いうまでもありませんが、お不動さまは独特のお姿をしています。
そのお顔は忿怒(ふんぬ)の相で、これは猛威を示すものです。
一見、大変恐ろしいお姿ですが、その内心は慈悲の極致を表現しているといわれます。
大日如来から『お前は煮ても焼いて食えない者を清度せよ』という命令・仏勅をうけたまわり、火の中、水の中、どんなところへでも入って衆生をもらさず救おうという、断固不屈絶対慈悲の姿でもあるのです。
右手には利剣、左手には網を持っています。利剣は大智力を表し、左手にの網は慈悲摂受を表わしたものといわれます。
さて、私たちのいわゆる煩悩妄想は色々ありますが。なかでも人間完成の上で邪魔になるものは『怒』だといってよいでしょう。
人間完成の中心は、この怒を除くこと、あるいは浄化することにあります。
明王の忿怒(ふんぬ)相は一切衆生のこの業種を断じ、大空位を得せしむる相といったらよいでしょう。お不動さまの前に立つときはこのことを念頭においてお参りされると、なお一層、ご参詣の意義も深まるのではないかと思います。